現在では、ホームページを所有し、自社製品の発信や採用等に活用している企業が大半です。然しながら、中小企業のホームページにおいては、長い間更新がされないことによって、情報が古くなっていたり、デザインが一昔のものであったりするケースも散見されています。

弊社のホームページも昔、業者さんに作成してもらったきりで、放置されている状態になっていました。更新しようにも、ホームページ制作会社に頼むとお金が発生するし、時間もかかる。それであれば、一度内製してみよう!ということで弊社のホームページを自社で作成してみることにしました。

リニューアル前のページはこちら

企業ホームページを作成したいが、初心者でも自社で作成出来るのかご検討されている方はご参考頂ければ嬉しいです。(あくまで中小企業を想定しています)

1. 結論、自社で作成・運用することは可能か?

結論からお伝えすると『可能ではあるが、BtoC企業等のホームページが売り上げに直結するような会社であれば、お金をかけてでも業者に外注した方がよい』と思います。自社運用出来る様にホームページ制作会社に作成して貰い、運用は自社で行う等の手段もあります。また、ホームページ作成の補助金等もあります。

但し、時間と労力をある程度かけてでもお金をかけずに社内で作成・運用していきたい!という意気込みのあるご担当者様であれば、全く知識がない未経験者の方でも最低限のホームページにする事は可能です。下記に弊社ホームページを作成した際に実施したこと、ポイントを記載していきます。

ちなみに、私は普段、営業支援、購買業務を行っているのですが、田渕電機産業のホームページは業務の隙間にコツコツと作業し、約1ヶ月程度で作成しました。かかった費用は『Webサーバー(年額)』『セキュリティ(年額、一時金)』『CMSオプション(一時金)』『ホームページ用の写真(一時金)』で、年額約5万円、一時金約4万円程度でした。同じようなCMSを利用したホームページ作成を業者にお願いすると、最低でも一時金50万~が相場だったりするので、かなり費用を抑えることが出来ています。

2. 自社で作成するにあたって実施しなければいけないこと

私もホームページを内製するにあたり、コンテンツ作成だけ実施してサーバーにアップロードすればいいくらいに思っていたのですが、調べてみたり、実際にやっていくと、コンテンツ以外にもかなり考えないといけないことが多かったです。。。

普段はあまり意識していませんが、どのようにホームページを見ることが出来ているのか、仕組みを知り、その仕組みの中のどの部分の作業が必要なのかをまずは認識していただければと思います。そうすれば、その後の作業もやりやすいかと思います。

下記にホームページの仕組みのイメージ図を掲載します。

HP構成図

このようにインターネット経由でWebサーバーにアクセスし、サーバーの中にあるコンテンツを見ているようなイメージです。ホームページ作成に必要な部分はこの『Webサーバー及びサーバーの中身』になります。これ以降の章で実際の作業について、触れていきたいと思います。

2-1. ホームページに載せたいコンテンツ、構造を明確にする

実際の作業としては、初めにこの作業に取り掛かりました。中身をどうするかによって、これ以降のステップにも関わってくる為、それなりに時間をかけました。実際のページの完成イメージ図等が描ければベストですが、中々難しいという方は最低限『テーマカラー』と『ホームページ階層構造』を決めて次のステップに移っていただければと思います。

【テーマカラー】
テーマカラーは企業ブランディングにも繋がります。例えば大手通信キャリアの会社だと、K社:紺色、D社:赤色、S社:白色が企業のイメージカラーになっていたりしますね。田渕電機産業のホームページでもロゴの濃紺にあわせ、青系統の色をテーマカラーとし、統一しています。基本的には企業ロゴ等に合わせている会社ホームページ多いですが、会社様によってはポップな感じを出したい、材木を扱っているので緑や茶色の系統が良い等あるかと思いますので、自由に選択いただければと存じます。1つだけルールを作るとすれば『テーマカラーは3色迄にする』のみです。色々な色を使ってしまうと、纏まりが無くなってしまう可能性が非常に大きいです。

【ホームページ階層構造】
ホームページ階層構造とはなんたるや、からですが、まずは弊社のホームページの階層構造(2020/6/26時点)を見ていただければと思います。
※仕様上、実際の構成と多少異なります

HP階層構造

どのホームページもそうですが、上記の様にページが階層構造になっています。この様に『どの様なコンテンツ』のページを『どの様な構造』で作っていくかを事前に図で作成しておくと、この後の作業もやりやすくなるかと思います。

2-2. CMSを選定、契約する

CMSとは『Contents Management System』の略で、プログラミング言語等の専門知識が無くても、ホームページの作成・運用が出来るシステムのことを言います。

通常、ホームページ作成は、プログラミング言語のHTMLやCSSによってテキストのフォントや位置、デザインを指定します。また、作成したページは、ファイル転送プロトコルのFTPを利用し、サーバーにアップロードします。

この時点で、専門知識を持っている人間がいない企業での内製は到底出来ないですよね。。CMSを利用すると、これらの専門知識が無くても、視覚的に、ホームページの作成・運用を行うことが出来るようになります。

さて、この様にホームページ作成の要となってくるCMSですが、めちゃくちゃ種類があります。ですので、選定するポイントを何点か持っていた方が選びやすくなるかと思います。

田渕電機産業のホームページ用CMSにおいての主な選定基準は下記の3つでした。(本当であれば、有料CMSor無料CMSの検討もするのですが、お金を出来るだけかけない事を前提としているので、無料CMSを前提としています。)

【どの様なホームページを作成するのか】
単にホームページといっても様々な種類があります。単純なコーポレートサイト、ECサイト、キャンペーンサイト、ブログ等々、、、、。CMSにもそれぞれのページに特化したものがあるので、どの様なサイトを作成するかを選定基準の1つとしました。

【サポート面】
ホームページを内製で作成していくにはサポート面がしっかりしていないと、途中で挫折もありえます。有料の場合は、電話はメールでの問い合わせがありますが、無料の場合はそれがありません。無料CMSのユーザーが、作成途中にエラーやトラブルが発生した場合はどうするのか。これは同じCMSを使い、同じエラーやトラブルが発生した際の解決策を書いているブログをひたすら検索し、実行するのみ。になるかと思います。CMSのユーザー数が多ければ多いほどそのようなブログの数も多くなるので、選択しようとしているCMSのユーザー数も選定基準の一つにしました。

【SEO対策】
SEOとは『Search Engine Optimization』の略で、検索エンジンの検索結果で上位に表示させる為の取り組みのことを言います。詳しくは、『2-7. SEO対策を実施する』にて後述しますが、この対策をしっかりと実施出来ないと、労力をかけ、素晴らしいコンテンツを作っても、上位に表示されず、ユーザーの目に届かなくなってしまうこともあります。これらをしっかりと対策出来るCMSを選定することは必須条件になるかと思いますので、選定基準の一つにしました。

2-3. Webサーバーを選定、契約する

基本的にはWebサイトの規模によって、容量等でサーバーを選定することになるかと思います。しかし、あくまで中小企業のホームページを想定し、ページ数がそこまで多くないとすると、有名どころであれば、どのサーバーを契約してもあまり変わらないかと思います。

田渕電機産業のWebサーバーはもともと契約していたものがあり、選定したCMSの構築事例もそこそこあったので、継続利用にしました。

2-4. CMSでホームページを作成する

CMSとWebサーバーの選定、契約が終われば、Webサーバー上にCMSをアップロードし、実際にホームページを作成していきます。

選定したCMSとWebサーバーによって操作方法や作業内容も異なるので、細かくは記載しませんが、『2-1. ホームページに載せたいコンテンツ、構造を明確にする』にて決めた内容、構造に従ってページを作成し、構造化していきました。

2-5. ホームページ用の写真を用意する

ホームページの内容をより効果的に伝えるには写真を掲載することも必要です。ホームページ用の写真は自社で撮影、業者さんに撮影してもらう、画像素材を販売・配布しているWebサイトからダウンロードするのいずれかになるかと思います。

田渕電機産業のホームページでは、Webサイトからダウンロードもしました。この様なWebサイトには無料で配布しているものもありますが、写真の著作権・肖像権などが不明瞭なものもあるので、有料の写真を購入することにしました。

2-6. セキュリティ機能を付与する

Webサーバーに対する攻撃はかなり沢山あります。

SQLインジェクション攻撃、OSコマンドインジェクション攻撃、LDAPインジェクション攻撃、DoS/DDoS攻撃、クロスサイトスクリプティング攻撃、ディレクトリ・トラバーサル攻撃、ドライブバイダウンロード攻撃、ゼロデイ攻撃、パスワードリスト攻撃、ブルートフォースアタック、改行コードインジェクション、コマンドインジェクション、ファイルインクルード、URLエンコード攻撃….etc

また、『2-2. CMSを選定、契約する』にて、CMSのユーザー数を選定基準の一つにしましたが、利用者が多いCMSはそれだけ攻撃の対象にも成り得ます。しっかりと対策をとっていくことが重要になります。

入念な対策を実施しているであろう大手企業のホームページですら、攻撃の被害にあうので、対策はやれるだけやっておく必要はあると思います。最低でも『Webサーバーにアップロードしたシステムは常に最新Verを維持する』『IP制限(海外からのアクセス制限等)を設定し、不特定多数のアクセスを減らすようにする』『WAF等のセキュリティを導入する』などの基本的な対策は行うようにすることが必要だと思います。

2-7. SEO対策を実施する

2-2. CMSを選定、契約する』の再記載になりますが、SEOとは『Search Engine Optimization』の略で、検索エンジンの検索結果で上位に表示させる為の取り組みのことを言います。もう少し詳しくいうと、クローラと呼ばれるプログラムがWebを定期的に巡回しており、ホームページの情報を収集していきます。この収集時に、クローラに分かりやすくホームページの魅力を伝えるようにする方法≒SEO対策となります。これをしっかりと実施出来ないと、労力をかけ、素晴らしいコンテンツを作っても、上位に表示されず、ユーザーの目に届かなくなってしまうこともあります。

田渕電機産業のホームページも元々は、似た名前の大手企業様がおられることもあり、名前で検索しても見つからず、複合検索をしなければなりませんでした。これが、SEO対策を実施することにより、少し、検索結果の順位が上がりました。

下表がホームページリニューアル前からの検索順位の変動となります。

HP順位

まだまだではありますが、複合検索をしなくても、会社名のみで、1ページ目に検索結果に出るようにはなりました。

SEO対策といっても、方法も多種多様ですし、検索エンジンによっても評価の基準が異なります。沢山のSEOに関する記事がありますので、対策出来るものからコツコツと継続して対策を実施していく必要がありそうです。

2-8. まとめ

ホームページの自社での作成・運用ですが、作成者としては、多少苦労してでも実施して良かったと思っています。

ホームページ作成・運用、SEO対策、セキュリティ対策は外注するとかなりコストがかかってくる上に、持続的に必要になってきます。ホームページを事業の核とはしていない会社は、とりあえずホームページを作成したものの、継続して投資するのももったいないので、放置してしまうこともあるように思います。

放置されているホームページでは、お客様や就職希望者からの信用力が下がってしまい、機会を失ってしまうこともあり得ます。放置するくらいであれば、最新の情報を載せた、最低限のホームページを自社で作成・運用した方が、企業にとってはいいのではないかと思います。

弊社においても、ホームページのリニューアル後、お問い合わせフォームから、他県の公共工事の元請様からお見積依頼をいただき、工事を実施させていただくことになったことも御座います。お問い合わせいただいたのも、恐らく『宇治 電気工事』等の検索ワードでお調べいただき、上位に表示されたこと。また、ホームページをご覧になった際に、不信感を与える事が無かった為だと思っております。

中小企業においてもIT化という言葉が先行しておりますが、実際にはコストや知識、情報量の少なさが課題になって、中々進めることが出来ない企業様も沢山おられるかと思います。今回の弊社の取り組みが、その様な企業様にとって少しでも参考になれば幸いです。